高野山夏季大学(8/2-4)
- 2013年8月5日(月)
- カテゴリー|新聞・マスコミ
800人集い開講
毎日新聞(2013年8月2日)より
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高野山夏季大学
1921(大正10)年に始まり市民講座の先駆けとして知られる「第89回高野山夏季大学」(毎日新聞社、総本山金剛峯寺主催)が2日午後から3日間の日程で、和歌山県高野町の高野山大学松下講堂黎明(れいめい)館で始まる。各分野で活躍する8人の講師が、全国から集まる約800人に自らの体験などを話す。講師は次の通り。(敬称略)
<2日>
- 野球解説者、張本勲
- 日本画家、上村淳之
<3日>
- ジャーナリスト、後藤謙次
- 作家、椎名誠
- 女優、有馬稲子
- 写真家、織作峰子
<4日>
- 日本総合研究所主席研究員、藻谷(もたに)浩介
- 高野山大学長、藤田光寛(こうかん)
得難い“とき”共有
毎日新聞(2013年8月3日)より
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高野山夏季大学
講師陣に女優や高僧
和歌山800人が参加し開講
世界遺産の霊場高野山(和歌山県高野町)で2日開講した「第89回高野山夏季大学」(毎日新聞社、総本山金剛峯寺主催)。高野山大学松下講堂黎明(れいめい)館などで3日間にわたって開かれ、講師陣は日本画家や高野山の高僧、女優など多彩な顔ぶれ。「以前から受講したかった」という初参加者や「毎回、さまざまな示唆を得て帰ります」というリピーターなど全国から集った約800人が、宿坊寺院に宿泊しながら非日常の得難い“時間(とき)”を共有する。
同県広川町の辻本勤さん(61)と好子さん(63)は「これまでと違った時間を2人で持とう」と夫婦で初めて受講した。辻本さんは長年、建築資材製造販売会社を経営し、好子さんも経理を担当。仕事一筋の生活が続いた。3年前に長男に引き継いで少しだけゆとりができたといい、「心を解き放ちます」とうれしそう。
北海道北広島市の元高校教師、中原朗さん(60)も初参加。以前から宗教都市が持つ高野山の独特の雰囲気に関心があったという。定年となり、思いかなっての受講で、「いろんなメニューがそろっているので、入門編としては最適。念願の宿坊に泊まって心ゆくまで寺の雰囲気を味わいます」とにっこり。
一方、那覇市の池原清子さん(59)は「現役で頑張っている人に受講してほしい」と強調した。2007年に夫の茂一さん(60)と初めて受講し連続7回目。清子さんは当時、職場の人間関係などで悩んでいたが、講師陣の話にヒントを得て気持ちをリセットできたという。「現役の人はリーダーのあり方など何かを得られ、それを職場に還元できます」と話した。
【上鶴弘志】
ケーブルカーで高野山駅に到着した高野山夏季大学の受講者ら=和歌山県高野町高野山で
張本、上村さんの講演に聴き入る
毎日新聞(2013年8月3日)より
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高野山夏季大学
第89回高野山夏季大学(毎日新聞社、総本山金剛峯寺主催)が2日、和歌山県高野町の高野山大学松下講堂黎明館で始まった。全国から集まった約800人の受講者は、講師の話に熱心に聞き入った。
講座は、野球解説者の張本勲さんの講演で開幕=写真。首位打者7回などの日本記録を持つ張本さんは自身の野球人生を振り返り、一日でも休めば相手に負けるという気持ちで、雨の日も雪の日も正月も、1日300回の素振りを自分自身に課していた」などとエピソードを披露した。「野球選手がうまくなる条件の1番目に来るのが努力。私は努力すればできるという良いサンプルだ」と話した。
続いて登壇した日本画家の上村淳之さんは、中国の五代・宋代の花鳥画などをスライドで紹介。「絵画は本来、現実の空間ではなく、自分の胸中に育て上げた夢想の世界、美しい世界を具体的な形にあらわしたもの。ものを見て形を知り美しさを知り、その中でより美しい世界が生まれてくる」と話した。
【倉田陶子、写翼も】
女優の有馬さん 箏に合わせ朗読
毎日新聞(2013年8月4日)より
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高野山夏季大学
和歌山県高野町で開かれている第89回高野山夏季大学(毎日新聞社、総本山金剛峯寺主催)は2日目の3日、女優の有馬稲子さんら4人が講演した。
有馬さんは、太宰治の小説「葉桜と魔笛」を基にした「葉桜のころ」を朗読。約800人の受講者は、箏曲者の澤村祐司さんが奏でる箏の音色と、感情あふれる有馬さんの朗読に聴き入った。
その後の講演で有馬さんは、東日本大震災以降に絆が重視されていることに触れ、「夫婦の愛、兄弟の愛、友達との愛、師弟愛といった形にならないものを大事にして生きていただきたい」と訴えた。
作家の椎名誠さんは「辺境の食卓」の演題で講義した。「よその国では、その土地でその時期とれたものを食べている」と世界の食事情を紹介。アマゾンでサルの肉を使った料理や、ベトナムでコブラ肉のサンドイッチを食べた実体験をユーモアを交えて披露した。
【倉田陶子、写真も】
朗読をする有馬稲子さん。奥は箏曲者の澤村祐司さん=和歌山県高野町で3日
霊気に浸る…
毎日新聞(2013年8月4日)より
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高野山夏季大学
授戒や写経
受講者楽しむ
高野山(和歌山県高野町)で開かれている第89回高野山夏季大学(毎日新聞社、総本山金剛峯寺主催)。2日目の3日は講話のほか授戒や写経、山内見学などがあった。参加者は高野山が持つ独特の霊気に浸り、山上の霊場の雰囲気を楽しんだ。
授戒では、高野山真言宗の松長有慶管長が「十善戒」を授け、「人は皆欠点があるが良い持ち味もある。自分の都合のいい人とばかり付き合うのではなく、互いに長所を認め合い尊敬し合い、みんなが仏様になれば社会が少しずつ良くなる」と諭した。
受講者を代表して20回以上受講している東大阪市の丸山茂樹さん(74)が松長管長から授戒のお札を授かり、「(十善戒は)日常生活の中では忘れていることが多い。ここで授戒を受けて大切なことを思い出させてもらい、いつも心を新たにします」と話した。
【上鶴弘志】
受講者を代表して松長有慶管長(右)から授戒のお札を受ける丸山茂樹さん=和歌山県高野町の高野山大師教会で
藻谷さんら講演 日程終え修了証
毎日新聞(2013年8月5日)より
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高野山夏季大学
和歌山県高野町で開かれていた第89回高野山夏季大学(毎日新聞社、総本山金剛峯寺主催)は最終日の4日、日本総合研究所主席研究員の藻谷(もたに)浩介さんら2人が講漬し、3日間の日程を終えた。受講者約800人には修了証書が手渡された。
藻谷さんは「日本の14歳未満の子どもは、2010年から10年間で224万人減る。あと76年で日本から子どもがいなくなる」などと少子化について解説。子どもの減少は大きな問題として、「せめて横ばいに持ち込めるようにすれぱ、日本社会は安定していく」と話した。
高野山大学長の藤田光寛(こうかん)さんは、1461の仏が配置された金剛界曼茶羅(まんだら)などを写真で紹介し、「調和、共存、すべての異質なものを受け入れる寛容の精神が表現された憂茶羅は、民族や宗教の違いによる紛争、環境問題を解決するヒントになる」と話した。
【倉田陶子、写真も】
人ロ問題を語る日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さん=和歌山県高野町で4目
受講生「ためになった」
毎日新聞(2013年8月5日)より
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高野山夏季大学
閉講式 般若心経の写経奉納
高野山(和歌山県高野町)で開かれている第89回高野山夏季大学(毎日新聞社、総本山金剛峯寺主催)は4日が最終日。高野山大学黎明(れいめい)館で講義の後、閉講式があった。修了証書を受け取った受講生らは「ためになった」などと話し、満足そうな様子で山を下りていった。
閉講式では、受講生らが書写した般若心経の写経464巻を、同県橋本市の中岡準(ひとし)さん(77)が代表して奉納し、金剛峯寺の山口文章・山林部長が受け取った。修了証書は京都市西京区の藤坂幸子さん(78)が代表で受け取った。
藤坂さんは「十数回参加している。心を込めて講演を聞いた。特に(日本画家の)上村(淳之)さんの話は胸に迫った」。初参加という中岡さんは「一緒に参加した妻が開講直前に足にげがをしたが、宿泊場所の宿坊の皆さんにいろいろと心遣いしていただいた。来年も参加したい」と話していた。
【入江直樹】
代表して写経を奉納する中岡さん(左)。右は山口・金剛峯寺山林部長=和歌山県高野町の高野山大学で