会報 No.58(2019秋)
- 2019年9月23日(月)
- カテゴリー|はすの会 会報
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同行二人(どうぎょうににん)の旅
四国八十八か所霊場巡りが静かなブームを呼んでいます。心の悩みを抱えた人が、ただ一人で歩いても同行二人(・・・・)、いつもお大師さんが寄り添ってくれる異次元の旅。お遍路(へんろ)みちには人を魅きつける何かがあり、そこで人々は何を得るのだろうか。
四国遍路の原型は、お大師さんの以前、役行者(えんのぎょうじゃ)や行基(ぎょうき)などを修験道(しゅげんどう)の修行地として存在していましたが、弘法大師ご入定の後、大師信仰の急速な広がりから大師の聖地として光があてられることになりました。当初のお遍路は、弟子や修行僧たちが中心となり、大師が修行されたゆかり(・・・)の場所を巡礼していましたが、四国八十八か所遍路が現在のような形を整え、一般の人たちも巡礼するようになったのは、中世室町以降江戸にかけての時代で、特に元禄の頃、僧真念(しんねん)が、お遍路ガイドブックを作成したのがブームの基礎になったと言われています。以来、所願成就や病気平癒を願う人達が全国から集まってきました。
全四国を巡る遍路みちは行程1400キロに及びます。昔は60日を費やし道路が整った現在では40~45日位で巡ることができます。
また観光を兼ねて車やバスを利用し、およそ一週間位で巡る人も多く、調査によると年間20万人を超え、その内昔ながらの歩き遍路は五千人位だそうです。
現在、どのような人たちがお遍路になるのだろう。
定年を迎え、第二の人生をどう生きようかと考えている60代の人たちが最も多く、次いで多いのが20代前半の若者だそうです。
若い人たちは、これからの進路や自分探し(・・・・)の旅でしょうか。
特に驚かされるのは、リピーターの多さ、なんと60パーセントの人がリピーターだそうです。
お遍路みちには、昔から「お接待」と呼ぶお遍路さんを優しく受け入れてくれる土壌がありました。その行為は、托鉢僧にお布施をし、徳を積むのに似ています。こうした両者の心の交流がリピーターの多さにつながっているようです。
名刹・札所「竹林寺(ちくりんじ)」のご住職のお話によると「お遍路はお大師さんと共にその足跡(そくせき)をたどることにあり、歩き続けることによって今迄見えなかったものが見えてきて、心のありようも変わり、気付かされることもあるでしょう。昔から宝物は遍路みちにこそ落ちているといわれてきました。」
お遍路の旅は、悟りこそ得られなくても何か得られるものがあり、それを求めて多くのリピーターが、今日もお遍路みちにやってきます。
スタッフ便り『生前お約束した一番大切な事』
遺骨の引き取りは原則として親族とする。
[大阪市立斎場保管遺骨取扱要綱第4条2項保管遺骨の引き渡し]
遺骨を引き取る親族が無い場合
斎場で保管している遺骨で、火葬した日から1年経過後、最初の8月31日までに遺骨を引き取る者がないときで、斎場に保管している期間中に親族以外の関係人から遺骨引き取りの申し出があるときは、第2項の規定にかかわらず9月1日以降、誓約書等を徴したのちに引き渡すものとする。
[同綱第4条4項]
今から18年前、平成13年5月私が初めて故山内しづい様のご自宅にお伺いしました。しづい様は、独居でした。昨年83歳でお亡くなりになりましたが、当時はまだ66歳でした。 今から思うとご自身の納骨法要料をお預けするにはまだ早いと思いましたが、将来発生する料金を早期に預けて安心していただけるのでしたらと思い、その手続きにお伺いしました。
その日を皮切りに、しづい様の終活プランがスタートしました。
平成23年6月、ご自身が亡き後の葬儀の手続きやご遺骨の手配を引き受けて頂く信頼のおける知人(通っている指圧の病院で知り合った方)との顔合わせに呼ばれました。
平成26年9月、ご自宅の仏壇とお別れする為、僧侶による撥遣供養と仏壇の引き取りの手配。(はすの会にて僧侶と仏壇業者の手配)
しづい様亡き後の手続きを行っていただく代理人を、お世話になっている介護サービスの担当者に変更、私との顔つなぎをしました。その時しづい様は79歳。
平成27年3月に、祖母の五十回忌法要料金をお預かりに伺いました。これが、しづい様とお会いした最後の日になりました。
平成30年7月某日に昨夜亡くなられた旨の連絡が、介護サービスの担当者様よりありました。
ご自身の葬儀費用は、介護サービスを経て葬儀社に既に預け済ですし、もちろん納骨料金もはすの会で18年前に預かっていましたので、ご遺骨の引き渡しが進めば、しづい様のご希望通りご自身の納骨法要を実行することができます。
しかし、しづい様は独居でしたので、火葬後ご遺骨を引き取る親族がいないため、親族でない私や、介護サービス担当者が直ぐにご遺骨を引き取ることが法律上できません。(冒頭の法律)
当然、このことは既に把握していましたので一年が経過しましたが今年(令和元年)9月になりましたら大阪市立小林斎場で故しづい様自身のご遺骨を私が引き取り、晴れて持明院にて納骨法要をしていただきます。
生前しづい様よりお約束しました永代供養とお大師様のおひざ元への埋骨は責任もってはすの会にて実行いたしますので、より安らかにお眠り下さい。
会員様 投稿写真
岡山県 小板 則生 様
はすの会だより・今後の取り組み
事務局スタッフ 前田昭博
私たちの永代供養は、単なる合祀(ごうし)墓ではありません。またビルや倉庫型の納骨堂でもありません。
多死時代、そして増え続ける孤独死に備えて、会員個々の事情に寄り添い、改葬・納骨・遺骨の引き取り、そして死後の法要までご相談に応じてまいります。
永代供養をお申し込みいただく際、度々ご質問をいただく内容に、以下の質問がございます。
「自分が亡くなれば、妻か息子がはすの会に連絡するが、最後の一人の息子が将来亡くなった時は、どうすればいいか?」
はすの会では、以下のご案内をいたします。
「友人、知人どなたでも結構です。最後のお一人にあたる方は、自分が亡くなったら、必ず【はすの会】に連絡して、と伝えておいて下さい。または、はすの会の名刺や連絡先のメモを残しておいて下さい。自身の納骨法要料と名簿変更料は生前お預かりする制度があります。訃報のご連絡があれば、必ず、最後の供養内容を変更し、持明院にて納骨法要を行います。」と。
これからは全国どこでもご遺骨を引き取りに伺うサービスをおこないますので、(次回の会報にて、料金や制度をご案内いたします)会員の皆様にはよりいっそうご安心いただき、このご時世を日々お元気でお過ごしくださいませ。
瞑想のすすめ
新しい時代「令和」の幕が上がりました。新たな美しく明るい時代への願いが感じられます。元号が変わっても、いま、世の中を見渡すと情報化社会の発達やテクノロジーの進歩に依り私たちの社会はめまぐるしい早さで変化しています。
AI(人工知能)の発達もよりスピードを増し、人がやるべき分野を脅かしています。その一方で人の心、つまり道徳心や宗教心が置き去りにされ、今、心を病む人がますます増え続けています。
こうした時代、私たちにとって何が必要なのでしょう。逆境の時はもとより順境の時にあっても、時には立ち止まり、静かに座って瞑想(・・)し、自らの心の中をじっと見つけてみることこそ大切です。
欧米においても、かなり以前から仏教を源(みなもと)とする禅(・)やヨーガ(・・・)(瑜伽)が流行しています。瞑想の必要性が増している証(あかし)でしょう。
日本における「禅」は、鎌倉時代の道元禅師に始まるが、それより四百年も以前にお大師さまが唐から密教と共に持ち帰られた、すばらしい座行(・・)があります。「密教禅」と呼ばれ、「観法(かんぽう)」ともいい、その特長は数息観(すうそくかん)・月輪観)(がちりんかん)・阿字観(あじかん)という順を経て深い瞑想に入ります。
高野山は座行に最適の場所、妨げるものは何ひとつありません。目をつむるとお大師さまを感じていただけるでしょう。
金剛峯寺では阿字観の体験指導をしています。
秋の法要には、ゆとりをもってご参詣(さんけい)ください。
合掌